イマドキの作品にはない暖かさ――深沢かすみ『ふるさと銀河線 軌道春秋』

 

コミック版 ふるさと銀河線 軌道春秋 (ジュールコミックス)

コミック版 ふるさと銀河線 軌道春秋 (ジュールコミックス)

 

 北海道の小さな町。高校受験を前にした少女は、自らの夢を胸に、心を迷わせていた。人々の心の揺れ動きを描く、鉄道に関わる9つの短編。

 

決して今風のお話ではない。なんだか懐かしいような、昔のトレンディドラマを見ているような感覚か。派手さはないが、安心して読める。

どのお話にも登場するのが、悲惨な現実により心を折られてしまった人物である。彼らを完全に救い上げることはできない。しかし、彼らを受け止めてくれ、少しだけ背中を押してくれる人々がいる。その人々のおかげで、最後には、上を向いて歩み始めることができるのだ。