死の淵からみえるもの――村上竹尾『死んで生き返りましたれぽ』

 

死んで生き返りましたれぽ

死んで生き返りましたれぽ

 

 目を開いて気付いたこと。自分が何者か、どこにいて何をしているのかがわからない。一度死んだわたし。そしてその周りの人々との触れ合いの記録。

 

まさにタイトルどおり、一度心肺停止を経験してから生活を取り戻すまでのレポート。死に至るまでについては軽く触れる程度であり、メインは意識を取り戻してからのお話となる。

結果としてこの本があるように、作者がどうなったのかは我々はわかっている。けれども、作者に襲いかかる、破壊されつくした人間の感覚のイメージには圧倒的な恐怖を覚えるしかない。

暗さはあるものの、いわゆる毒というのは少なく、基本的には人の優しさで構成された物語であるので、安心して読むことができる。